地域文化論ロシアI, II, III, IV (2024年度)

地域文化論は法学部の設置科目ですが、他学部の人も受講できます。I,IIは「名句とことわざに見るロシア語圏の文化と社会」と題して主にロシアの文化や社会をあつかいますが、III, IVはシベリアや旧ソ連諸国について、学内外から専門家をお招きして講義していただいています。2024年度は春学期はウクライナ、秋学期はウズベキスタンについて学びましょう

I(春学期), II(秋学期) 「名句とことわざに見るロシア語圏の文化と社会」

水曜4限 熊野谷葉子

モスクワ・コロメンスコエ(18世紀木造宮殿を復元)内のバーニャ(蒸風呂)
名句「С лёгким паром!(整いますように!)」をつぶやきたいが…これでは広すぎて温まらなさそう

「頭でロシアは分からない (露Umom Rossiju ne ponjat’)」 これは19世紀ロシアの詩人チュッチェフの詩句ですが、ロシアは謎の国だ、理解不能だ、と言いたいときにしばしば引用されます。 この授業では、こうしたよく知られた文学からの引用や映画のセリフ、ことわざや慣用句などを入口に、その意味や、引用元となっている小説や映画、フォークロアを紹介します。春学期は言語と暮らしにまつわるトピックを多く取り上げ、秋学期はロシア史を辿ります。講師はできるだけ客観的に様々な情報を提供しますので、受講者は示された参考文献や資料を積極的に利用し、自分でも勉強を進めて、この謎の国とどう向き合っていったらいいのかを、自分自身で考えてください。

III(春学期)「ウクライナから考える言葉と文化」

水曜5限 原田義也

ウクライナは特色ある地方から成る多様性の国

ロシアによる全面侵攻によって国家存亡の危機にあるウクライナという国を、その言葉と文化にまつわるいくつかのエピソードを通して理解すると同時に、それらのエピソードが現代日本の私たちに対して持ちうる意義について考察することを目指します。  本授業で言及あるいは引用されるエピソードは、講師自身の文学的関心をベースにしていますので、必ずしも包括的なウクライナ像を提起できるわけではありません。しかし、「体験」や「感覚」というものを重視しながら、受講生の皆さんにも議題を「自分の問題」として肌で感じてもらえるような進行を心がけたいと思っています。  そして、全14回の講義を通して、受講生の皆さんがウクライナを見つめる新たな視点が一つでも加わるならば、講師としてこれに勝る喜びはありません。

IV(秋学期)「中央アジア・ウズベキスタン」

金曜4限 バヒリディノフ,マンスール

ウズベキスタンを含む中央アジアのポスト・ソビエト諸国は、国際関係の構造が劇的に変化する中、その重要性が改めて注目されています。これら中央アジア諸国は、巨大な人的潜在力、ヨーロッパとアジアの間の戦略的立地、豊富な天然資源を有しており、専門家のみならず、これからの研究者、ビジネス界、および一般社会の注目の的となっています。 本講義では、ウズベキスタンの発展の歴史的段階を、外交関係や国際法に焦点を当てながら探ります。また、アジアで近代化を成し遂げた日本との比較分析も試みます。ソビエト連邦崩壊後の中央アジア諸国についての、独立国家共同体(CIS)、上海協力機構(SCO)、テュルク諸国機構などの国際組織への加盟、EUおよびNATOとの関係についても触れる予定です。今年は、中央アジア+日本の対話の枠組みでの首脳会議が予定されており、日本との多面的な対話の拡大についても取り上げます。